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「西日本豪雨」における医療保険制度の主な対応を報告

「西日本豪雨」における医療保険制度の主な対応を報告
住居が全半壊・床上浸水した人は10月末まで窓口負担なし

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
 

厚生労働省は7月18日の中央社会保険医療協議会総会で、「平成30年台風7号及び前線等に伴う大雨による被災」(西日本豪雨。気象庁命名は「平成30年7月豪雨」)における医療保険制度の主な対応状況について報告した。被災者支援に関しては、被保険者証を紛失して提示できなくても「氏名・生年月日」を申し出れば保険で受診できるほか、住居が全半壊、床上浸水した人は、今年10月末まで窓口負担なしで医療機関での受診ができることを改めて示している。

 被災地および、被災地以外の医療機関にも幅広く配慮された。まず被災地の医療機関に対しては、診療録やレセプトコンピュータなどを汚損・棄損した場合、6月診療分は概算による請求が可能としているほか、診療報酬請求書の提出期限は7月14日まで延長された。

患者の急激な増加に対応できるよう、診療報酬の算定についても柔軟な取扱いを行っており、許可病床を超過しても減額措置をとらないほか、看護職員の比率に変更があっても当面は変更の届け出が不要となっている。平均在院日数や重症度、医療・看護ひつようど、在宅復帰率といった入院基本料の施設基準を満たさなくなった場合も、被災前に届け出ていた入院基本料が算定できる。DPC病院が提出を義務付けられている退院患者のデータも、4月分、5月分の提出期限は当面の間延長された。被災地以外の医療機関についても、被災地から患者を受け入れている場合は、同様の措置がとられる。

 西日本豪雨とは、6月28日から7月8日頃にかけ、西日本を中心に広い範囲で記録された集中豪雨のこと。河川の氾濫や洪水、土砂災害などの被害が多く発生し、7月22日現在総務省消防庁による集計では、死者219人、行方不明者10人、負傷者361人となっている。住宅被としては2,989棟が全壊、半壊・一部損壊は2,538棟、床上浸水15,049棟、床下浸水は20,133棟。発生から1カ月近く経った現在でも被害は増え続けており、未だ避難生活を送っている人も多い。



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NDBと介護DBの連結解析に向け、関連法の改正へ  

NDBと介護DBの連結解析に向け、関連法の改正へ        
他の保健医療分野の公的データベースとの連結も検討

―厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会
 

7月19日の厚生労働省社会保障審議会医療保険部会で、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」における検討状況が報告された。同会議は、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)と介護保険総合データベース(介護DB)を連結解析するうえで、データの収集・利用目的に関する法律を整備すべきだとし、了承された。今後、関連法の改正に向けて、議論が深められていくことになる。

 NDBと介護DBをめぐっては、2016年5月の経済財政諮問会議で安倍晋三首相が「医療や介護のレセプトデータを全国的に連結し、社会保障給付費を効率化していくための具体案を諮問会議に報告していただきたい」と当時の塩崎恭久厚生労働相に指示。昨年の「骨太方針」では、「健康・医療・介護のビッグデータを連結」し、「国民の健康管理にも役立てる『保健医療データプラットフォーム』や自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため」、必要なデータを収集・分析するためのデータベースを構築する方針を明らかにしている。

この「健康・医療・介護のビッグデータを連結」したデータベースの本格運用は2020年度の開始を目指しており、そのための基盤構築やセキュリティおよび実施体制確保のための課題を抽出するため、立ち上げられたのが「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」。今年5月に第1回会合が開かれ、7月12日までに5回の会合を重ねてきた。この日の医療保険部会では、その中間とりまとめが報告された形だ。

関連法の改正が必要なのは、NDBと介護DBが異なる法によって規定されているからだ。NDBは、2008年から施行されている「高齢者の医療の確保に関する法律」(高齢者医療確保法)に基づいており、介護DBは介護保険法に基づいている。それぞれ異なるガイドラインが策定され、法定目的も異なるため、連結解析のための法規定を整備すべきというわけだ。また、「保健医療データプラットフォーム」が運用開始すれば、第三者への提供も行われるため、利用目的や利用内容に応じた審査や、それによって得られる成果の公表、目的外利用の禁止といった仕組みを含め、法整備を行うべきだとしている。

技術的な課題については、NDBと介護DB双方の匿名化に用いている情報項目や識別子の生成方法が異なる点を指摘。現状では連結解析ができないとして、共通の識別子を生成して連結キーとして活用する案を提示している。そのうえで必要なセキュリティの確保や、解析ニーズの多様化・高度化に対応できる機能の確保などについては、今後さらに検討していくとしている。

また、保健医療分野の公的データベースとしては、NDBや介護DBのほかDPCデータベースや全国がん登録データベース、指定難病・小児慢性特定疾病データベース、MID-NETなどがあるが、それらとの連結解析も検討。関係法の改正を行う際には、これらの連結も視野に入れた形になることが想定される。
 これらの実状を踏まえたうえで、「一体的実施」の支援内容を明らかにし、市町村と広域連合、健保・国保など保険者の役割分担を明確化し、効果的な事業スキームを構築していくのが、新たに立ち上げられる有識者会議の役割となる。構成員として現在決まっているのは、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢氏、国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏など。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国老人クラブ連合会などからも人材が選出される予定となっている。



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高齢者の「保健事業」と「介護予防」の一体的実施を推進

高齢者の「保健事業」と「介護予防」の一体的実施を推進
有識者会議を立ち上げ、近日中に第1回会合の開催へ

―厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会


厚生労働省は、7月19日の社会保障審議会医療保険部会で、高齢者の「保健事業」と「介護予防」を一体的に実施するため、有識者会議を立ち上げる方針を明らかにした。人生100年時代を見据えて健康寿命を延伸するのが目的で、有識者会議で効果的な支援のあり方や、事業スキームなどを検討していく。近日中に第1回会合を開催し、以後月1回程度の開催を経て年内に検討結果を取りまとめる方針だ。

6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)では、社会保障の項目で「予防・健康づくりの推進」として、以下の方針を掲げている。

「高齢者の通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策や生活習慣病等の疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援を都道府県等と連携しつつ市町村が一体的に実施する仕組みを検討するとともに、インセンティブを活用することにより、健康寿命の地域間格差を解消することを目指す」

これらの具体的な数値目標として、4月の経済財政諮問会議で加藤勝信厚生労働相が打ち出したのが、「2040年までに健康寿命を3年以上延伸」というものだ。また、健康寿命には地域間格差が存在しているとしており、全都道府県が健康寿命のもっとも高い山梨県の水準に到達すれば、「男性で+1.07年」「女性で+1.43年」の延伸が可能だとしている。その目標達成のための重点取組分野として、次世代の健やかな生活習慣形成を促す「健やか親子施策」、個別・最適化されたがん検診やゲノム医療の開発・推進などを進めることで疾病予防や重症化予防へつなげる「がん対策・生活習慣病対策」、そして介護・フレイル(虚弱)予防のための「保健事業と介護予防の一体的実施」の3つを挙げている。

あえて「保健事業と介護予防の一体的実施」を掲げた背景には、生活習慣病やフレイル対策が医療保険で対応するのに対し、介護予防は介護保険で対応と、別々に展開されている実状がある。生活習慣病対策は健保・国保が、フレイル対策は後期高齢者医療のため広域連合が、そして介護予防は市町村が実施主体となっているため、自治体や関係機関、そしてかかりつけの医療機関や介護施設などが連携する必要がある。また、高齢者の保健事業は「高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進」として国庫補助金により助成されているが、フレイル対策を実施している地域は限られている。

これらの実状を踏まえたうえで、「一体的実施」の支援内容を明らかにし、市町村と広域連合、健保・国保など保険者の役割分担を明確化し、効果的な事業スキームを構築していくのが、新たに立ち上げられる有識者会議の役割となる。構成員として現在決まっているのは、東京大学高齢社会総合研究機構教授の飯島勝矢氏、国立社会保障・人口問題研究所所長の遠藤久夫氏など。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、全国老人クラブ連合会などからも人材が選出される予定となっている。



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オンライン服薬指導、特区に限り「薬剤服用歴管理指導料」が算定可能に

オンライン服薬指導、特区に限り「薬剤服用歴管理指導料」が算定可能に         
「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」は対象外 

―厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会


厚生労働省は7月18日の中央社会保険医療協議会総会で、国家戦略特別区域(特区)で「遠隔服薬指導」(オンライン服薬指導)を実施した場合、「薬剤服用歴管理指導料」を算定可能とする方針を示し、了承された。「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」は対象外となった。

今年度の診療報酬改定で、スマートフォンなどを使ったテレビ通話などによるオンライン診療が初めて保険適用され、遠隔診療へのハードルは一気に下がった。しかし、診療は在宅で受けることが可能となっても、処方された薬剤は在宅で受け取るのが難しいのが現状だ。服薬指導および調剤が、制度上対面を原則としているのが理由で、「一気通貫の在宅医療」の実現を妨げている。

そこで、「一気通貫の在宅医療」を今期の最重要課題と位置づけている規制改革推進会議は、特区での実証実験を迫り、6月に開催された国家戦略特別区域諮問会議で愛知、兵庫、福岡(※)での実施が決定した。そのため、診療報酬上の扱いを決める必要があり、急ぎ対応した形となる。

「薬剤服用歴管理指導料」は、患者が安全に薬を使用できるように薬剤師が必要な情報を収集・分析・管理・記録し、薬を渡す際に説明することで与えられる報酬。対面ではないオンラインの服薬指導でも、同様のことができるとの判断から、算定が認められた。本来、患者が「お薬手帳」を持参した場合は41点、持参しない場合は53点が算定されるが、今回の特例は「お薬手帳の活用」を前提とする方針となっている。

「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が対象外となったのは、これらが「一元的・継続的な薬学的管理を評価したもの」だからと説明。「薬剤師に患者の居住地を訪問させることが容易ではない場合に行われる特区での遠隔服薬指導では、事実上算定要件を満たさない」との考えを示している。

※遠隔服薬指導が実施される国家戦略特別区域は以下のとおり。

[愛知県]
西尾市一色町佐久島、新城市、知多郡南知多町日間賀島、知多郡南知多町篠島、北設楽郡設楽町、北設楽郡東栄町、北設楽郡豊根村

[福岡県]
福岡市全域

[兵庫県]
養父市全域



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会社主催の海水浴費用の取扱い

会社主催の海水浴費用の取扱い
社員の家族同伴も損金算入は可能か?


暑い夏の定番は海水浴。家族のリクエストに応えて夏休みに海水浴に行くサラリーマンも少なくない。
企業によっては、夏休みを利用して従業員やその家族を泊りがけの海水浴に招待したり、法人として「海の家」と契約して従業員やその家族が一般の利用料金よりも低料金で利用できるようにするケースもある。
こうした場合において、企業が支出した費用は、常識的な範囲内の負担であれば、原則は福利厚生費として処理することができる。

ただし、疑問が生じるのは、従業員の家族分の負担も、福利厚生費に含めることができるのかという点だ。
従業員の福利厚生で家族同伴のレクリエーションとしては社内運動会などがあるが、運動会は宿泊を伴わない。
また、宿泊を伴う社員慰安旅行に関し、通常は家族分の費用負担は認められていない。

ここで問題の「海水浴」だが、通例として海水浴は家族同伴で行うものとの認識から、税務上も、従業員のみならず、その家族分の費用も含めて福利厚生費として処理することを認めているようだ。

一方で、法人が「海の家」と契約して補助するケースに関し、補助方法によっては問題が生じるおそれがある。
例えば従業員に補助分を現金で支給したり、従業員が利用した後で、その料金等を請求させて精算する方法を採ると、給与課税とされる公算が大きい。
こうした場合、「海の家」に対し法人があらかじめ補助費用を支払うなど、確実に福利厚生に使われていることを明確にすることが無難だ。



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老後に備えた資産運用、約6割が「していない」

老後に備えた資産運用、約6割が「していない」
社会施策としての資産運用を普及すべき段階に


超高齢化社会で求められる金融サービスのあり方を、金融庁が検討している。高齢世帯の金融資産が横ばい状態であることが一因で、確定拠出年金(DC)の対象年齢や上限額の引き上げなども視野に入れているようだ。平均寿命の伸長などが想定されているのに、「備え」としての高齢世帯の金融資産が伸びないのはなぜか。興味深いデータを提示するのが、調査会社のインテージリサーチで、全国の16歳から79歳までを対象にしたインターネット調査の結果、「老後に備えた資産運用を行っていない」との回答が約6割を占めた。このうち、半数以上が「興味はあるが行っていない」と回答している。
資産運用に対して消極的な風潮があるのは、金融商品をめぐるトラブルの頻発と無関係ではないだろう。元本割れリスクを恐れる心理を助長しているのではないか。また、こうした状況の根底にあるのは、資産運用に“ギャンブル性”や投機性を感じる人が多いからだと思われる。だが、資産運用や投資は本来、社会貢献につながるべきもの。投資が有効に活用されて社会を改善し、その対価としてリターンが得られるのが健全な金融のあり方だろう。
今後、日本の人口は減少に転ずることが確定的だ。社会の持続的な発展には、国民の資産を回して経済を活性化することも一手だ。ミクロ的な施策で確定拠出年金のスペック改善なども必要だが、マクロ政策として資産運用への基本認識を啓蒙し、金融リテラシーの底上げを図ることが重要ではないか。

※確定拠出年金(DC)
私的年金で、日本の年金制度では、国民年金、被用者年金(厚生年金など)に次ぐ第三段階に位置付けられている。積み立てた資金を運用し、損益が反映されたものが老後の受給額になる仕組み。アメリカの確定拠出個人年金制度のひとつ、401kになぞらえて「日本版401k」とも呼ばれてきた。受け取ることのできる給付金は「老齢給付金」(原則として60歳から支給)「障害給付金」「死亡一時金」。中途脱退した場合、2年以内に請求すれば「脱退一時金」が請求できる。



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今年度診療報酬改定の影響を2年間で調査

今年度診療報酬改定の影響を2年間で調査
新設の急性期一般入院基本料など、見直しの成果を確認

――厚生労働省 入院医療等の調査・評価分科会
 

厚生労働省は、7月12日に開かれた「入院医療等の調査・評価分科会」で、今年度実施された診療報酬改定の成果を2年間かけて調査すると明らかにした。再編・統合によって新たに設けられた急性期一般入院基本料などの成果を確認するための作業で、調査の結果は2020年度の次期改定に影響すること必至だ。

 今年度の診療報酬改定では、旧7対1、10対1が再編・統合された急性期一般入院基本料のほか、地域一般入院基本料、療養病棟入院基本料などが見直された。また、旧7対1は重症患者割合25%以上という施設基準があったのに対し、10対1は重症患者割合に応じた看護必要度加算を設定と、評価基準が統一されていなかったが、「診療実績」として評価されるようになった。それに伴って「重症度、医療・看護必要度II」が新設されるなど、大幅な改革が実行された。その影響が、実際の現場でどのように出ているか確認する今回の調査は、非常に重要なものとなる。

 調査は、入院料の届出状況や職員体制、そして重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の状況、そして各入院料における患者の状態や医療提供内容、平均在院日数、入退院支援、退院先の状況など多岐にわたる。調査を2年間かけて行うのは、改定の影響や効果を検証するのに1年ではデータ量が足りないのと、経過措置が設けられている項目があるからだ。

いずれにしても、煩雑な作業となることが想定されるとあって、分科会自体も組織の再編・統合に踏み切っている。「DPC評価分科会」を「入院医療等の調査・評価分科会」に統合。さらに、下部組織として「DPC/PDPS等ワーキンググループ」「診療情報・指標等ワーキンググループ」と2つのワーキンググループを新設し、実作業を託すとともに、専門的な視点からの調査・分析を進める体制にすることも決定。DPCデータを含めて診療報酬の評価・検討を行う組織となるため、より注目すべき会合となることは間違いないのではないか。



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協会けんぽ、8年連続の黒字 黒字額は4,486億円   

協会けんぽ、8年連続の黒字 黒字額は4,486億円          
社会保険の適用拡大を受けた加入者数の増加が要因

―全国健康保険協会
 

全国健康保険協会(協会けんぽ)は、7月6日に2017年度の決算見込み(医療分)を発表。収入が9兆9,485億円、支出が9兆4,998億円で、4,486億円の黒字であることがわかった。黒字は8年連続で、過去最高だった2016年度の4,987億円に次ぐ額となった。

「協会けんぽ」は、中小企業が主に加入している公的医療保険。2009年度に5,000億円近い赤字決算となったことから、国庫補助割合や保険料率の引き上げといった特別措置がとられ、翌2010年度から黒字に転換している。

2017年度の収入は2016年度から3,265億円増加。これは、主に保険料収入の増加によるもので、同協会は「保険料を負担する被保険者の人数が3.9%増加した」ことと、「被保険者の賃金(標準報酬月額)が0.6%増加」したことが要因だとしている。とりわけ大きいのは被保険者数の増加だが、その背景にあるのは2016年10月からの社会保険の適用拡大だろう。それまでは、「週30時間以上」の勤務が社会保険の加入要件となっていたが、「週20時間以上」「月額賃金8.8万円以上」へと変更された。格差是正や女性の就業意欲を促進するなどの狙いによるもので、加入者数が87万4,000人増えた要因のひとつとなっている。

一方で、支出も3,765億円増えている。これは、保険給付費の増加が要因で、2016年度に比べて2,366億円伸びている。伸び率は4.2%で、過去最高の黒字をマークした2016年度の伸び率3.2%を上回った。同協会は、2016年度の黒字が同年度に実施された診療報酬のマイナス改定の影響によるものと分析しており、一時的に抑制された伸びが回復したとみられる。

注目したいのは、支出の4割を占める拠出金だ。高齢者医療にかかわるもので、2016年度に比べて1,235億円増加。高齢者数が増えているのに加え、2017年度はマイナス精算(拠出金の概算納付分の戻り)の影響がなかったことが要因となっている。今後、高齢者数は増加の一途をたどるため、拠出金も増えていくことは確実であり、同協会の収支構造に大きな影響を与えることが予想される。

なお、大災害など不測の事態での保険給付費の支払いに備え、積み立てが義務付けられている準備金は、2兆2,573円に達した。これは法定の1カ月分を大きく上回り、約3カ月分となっているため、国庫補助割合や保険料率見直しの対象となる可能性がある。



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医師の宿日直、「中間的な働き方」の創設を

医師の宿日直、「中間的な働き方」の創設を
日医主導の検討会が提言 厳密な労働時間管理には否定的

―厚生労働省 医師の働き方改革に関する検討会


厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は、7月9日に「医師の働き方改革に関する意見書」を取りまとめた。医師の宿日直については、「中間的な働き方」を制度として創設することを提言。「患者対応を優先できる制度」にするのが目的で、厳密な労働時間管理には否定的な考えを示した。

医師の宿日直は、医療法と労働基準法で意味合いが異なる。医療法では「医師を宿直させなければならない」(第16条)となっているのに対し、労働基準法では「宿直又は日直の勤務で断続的な業務について(中略)これに従事する労働者を(中略)使用することができる」(第23条)となっているため、意見書では「宿日直」「許可を受けた宿日直」「通常業務と同じ宿日直」の3つを定義した。それによれば、「宿日直」は「夜間休日に何らかの業務のために病院に滞在すること」としており、「許可を受けた宿日直」は「監視的・断続的労働とされ、労働時間の適用除外とされたもの」、つまり法令上の宿日直を指すものとした。そして「通常業務と同じ宿日直」は、夜勤を含めて「業務内容が通常と同様であるもの」としている。

わざわざこのように定義したのは、宿日直と通常業務の境界線が曖昧になっている現実があるからだ。意見書では、全国医師ユニオンによる「勤務医労働実態調査2017」の結果を引用しているが、法令上の宿日直に該当する「通常業務ほとんどなし」との回答はわずか13.7%。それに対して、「通常と同じ」が34.5%、「通常より少ない」が47.2%を占めている。

意見書で「医師の宿日直は、入院患者の状態や救急患者の数で日々大きく変動」するとしているように、たとえ「通常より少ない」時間であったとしても、救急対応や入院患者の急変などによって、通常の労働にあたる業務を遂行する時間が発生する。現在の状況は、この時間を通常業務とも宿日直とも判別できないため、「中間的な働き方」としての制度を整え、曖昧な賃金体系から脱しようというわけだ。意見書では、「全拘束時間に占める労働時間の割合」をベースにした基準および賃金案も提示している。

一方、院外オンコール待機については、実際に対応した時間のみを労働時間とみなす考えを示した。裏を返すと、待機時間は労働時間とはみなさないという考えであり、医師の負担を考慮しているとは言い難い。6月29日に改正された「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」により、医療機関側は勤務間インターバルに取り組むことが義務付けられているなど、「医師の働き方」は徐々に見直されつつあるとはいえ、やはり「応召義務」を重視する考え方が変わらないことが浮き彫りになった。日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、「時間外労働の上限を『過労死ライン』で設定すると救える患者も救えない」と記者会見で述べており、「中間的な働き方」を制度として創設しても、時間外労働を抑制しようとする意思がないことは明らか。こうした診療側の意見を受け、厚労省側がどのような指針を示すか、今後策定されるであろうガイドラインの内容が注目される。



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来年度予算の概算要求基準を閣議了解 

来年度予算の概算要求基準を閣議了解         
社会保障費は6,000億円の自然増を認める


政府は、7月10日に2019年度予算の概算要求基準を閣議了解した。年金や医療費などの社会保障費は31兆5,000億円で、高齢者の増加などに伴う自然増は6,000億円まで認めている。各省庁は、この概算要求基準に従って8月末日までに概算要求を提出する必要がある。

今年度予算で、厚生労働省は過去最大となる31兆4298円の概算要求を提出。社会保障費は6,300億円の増加を見込んでいた。しかし、財務省は5,000億円程度に抑制することを求めていたため、解決策としてひねり出したのが、診療報酬における薬価のマイナス改定だった。医科・歯科のいわゆる本体部分は、2016年度の前回改定の0.49%を上回る0.55%増となったが、薬価はマイナス1.7%となり、1,300億円の財源を確保。かろうじて自然増分を5,000億円以内に抑え込んだ結果となった。

しかし、高齢者の増加数を踏まえれば、自然増分をこれ以上抑制することが難しいのは、火を見るより明らか。そのため、今回の概算要求基準では「5,000億円」の目安を記載せず、昨年の厚労省の概算要求を踏まえて6,000億円とした形となった。しかし、それでも昨年度の額よりも300億円少ないため、厚労省は困難な調整を求められること必至。消費税率引き上げで得られる財源をどのように振り分けるかも見据え、熾烈な駆け引きが関係省庁間で繰り広げられることになる。

なお、来年10月に予定されている消費税率引き上げは「予算編成過程において検討」としており、今回の概算要求基準では考慮されていない。6月に閣議決定された「骨太方針2018」では、消費税増税によって確保される5兆円規模の財源は「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等」および財政再建に充当するとしているほか、2013年に制定された「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」では社会保障給付の重点化も盛り込まれている。増税分の活用法をめぐる議論の行方によって、診療報酬のあり方も変わってくるだけに、来年度予算の概算要求がどのような形になるか例年以上に注目を集めることとなるだろう。



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